糸島にある産の森学舎という学び舎で、アナモルフォーシスのワークショップをおこないました。
学び舎までの道々には、この季節紫陽花が色とりどりに咲いていて、朝の少しひんやりした空気がとても気持ちいい。
私が、産の森学舎と出会ったのは6月の初旬でした。
一歩足を踏み入れた瞬間に、産の森学舎にすっかり惚れ込んでしまい、その日は随分と長居させていただいたのでした。
その時、産の森文庫の本棚に安野光雅さんの絵本を見つけ、アナモルフォーシスのワークショップをやりたいと考えていると話したことがきっかけで、本日のワークショップ開催となりました。本当にありがたいです。
学舎に到着すると、それはそれは人懐っこく、愛くるしい子どもたちがお出迎えしてくれました。産の森学舎の子ども達は、なんというか、心が自然に開かれているという感じがする。とにかく見ていても一緒にいても気持ちがいい。もちろん彼らはそんなことは意識していないのだろうけれど、学び舎に入った瞬間に、仲間に迎え入れてもらえた気持ち良さがある。開かれていて懐がだだっ広い産の森学舎、あぁやっぱり大好きだって思いました。
まずは自己紹介。自分で自分を紹介するのはちょっと恥ずかしいから、友だち同士で紹介し合おう。でも一番最初は恥ずかしいから、まずは大人の「やすさん」から。
「やすさんはね、たとえ話が多い。」
「やすさんはね、話が長い。」
「すぐ別の話しするけんね。」
「そうそう、関係ない話しするけん。」
「やすさんはね、お餅の米からつくる。」
「やすさんはね〜」
「やすさんはね〜」
やすさんの紹介だけでその日の時間が終わってしまうくらい、
子ども達は学び舎のやすさんのことが大好きなんだとすぐに分かりました。
大人も子どももゆっくり自己紹介して、おしゃべりして、すっかり仲良くなったところでワークショップのはじまりはじまり。
アナモルフォーシスは、歪んだ絵を筒状の鏡にうつすと普通の絵に見えるという、騙し絵のようなもので、日本でも江戸時代に『鞘絵(さやえ)』と呼ばれ楽しまれていたそうです。
今日は、その歪んだ絵を自分で描いてみようというワークショップです。
まずは好きな絵を方眼紙に描いて、それを歪ませた方眼紙に描きうつしていくのです。
低学年の子どもには難しいかと思いましたが、どういう理屈かピンとくると「分かった!」と楽しんで取り組んでいました。
一度できると嬉しくて「もう一回!」「もう一回!」と次々に作品がうみだされていく。
スプーンにうつしたらどうなる?鍋にうつしたら?と、大人も子どもも遊びを発展させて楽しんでいます。
まだまだもっとやりたいという子ども達でしたが、時間がきたので一度おしまいにして鑑賞タイム。友だちの描いた絵も鏡にうつして試してみて楽しんでいました。
子ども達の集中力に驚きました。
ぐっと集中して学んだ後は「お腹空いた〜!」ということで、ワークショップは終了。
産の森学舎では、その日にとれた野菜を見て、子ども達がメニューを考え、自分達で昼食をつくります。人参切る人、タマネギむく人、皆手際がよい。米を炊いている土鍋から出る蒸気の具合をしっかり見て火加減を調整しながら「まだだな」「そろそろだな」と火の番をする。子ども達のつくったご飯の美味しさったら格別でした。
アルティアムで開催される『安野光雅のふしぎな絵本展』の会期中の土曜日、随時このアナモルフォーシスのミニワークショップが体験できるブースを準備しています。
ぜひ興味のある方、展覧会へ足を運んでみてくださいね。